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  • みかわち焼 しつらい

  • アクセスマップ

    長崎県佐世保市の東部に位置する三川内(みかわち)は、約400 年以上前にやきものづくりを始めた町です。最も古い木原(きはら)、陶器と磁器を焼いてきた江永(えなが)、中心の三川内の三つの地区から成ります。東西約1km弱、幅は100~300mの狭い谷合に伸びる三川内地区には、平戸藩の御用窯(ごようがま)が置かれていました。

    目次
    平戸松山・・・・・・・・04
    光雲窯・・・・・・・・・06
    平戸洸祥団右ヱ門窯・・・08
    啓祥窯・・・・・・・・・10
    嘉泉窯・・・・・・・・・12
    嘉久正窯・・・・・・・・14
    智山・・・・・・・・・・16
    宝珠窯・・・・・・・・・18
    平戸嘉祥・・・・・・・・20
    平兵衛・・・・・・・・・22

  • ヨーロッパを魅了した、長崎デザイン
    いまよみがえる

     19 世紀半ば、ヨーロッパの人たちの心を揺さぶるデザインが、長崎県佐世保市でつくられていました。現在の「みかわち焼」、当時は「平戸焼」と呼ばれて輸出されたやきものです。
    このやきものは、 平戸藩の厚い保護を受け、江戸時代のさまざまな経済の荒波に巻き込まれることなく、技術の粋を極めた「細工もの」や茶道具などをつくり続けることができました。
     幕末(1800 年代)からは、食器や繊細な造形が輸出され、20 世紀半ばまでヨーロッパで高い評価を得ていました。
     大量生産や廉価な商品が普及する高度成長期以降、一つひとつ手でつくり出すみかわち焼は、「時代遅れ」の烙印を押され表舞台からは遠ざかっていましたが、21 世紀の現在、手仕事や素材感が再評価されています。
     お殿様の器をつくるために進化した職人技と、採算を度外視した素材選びは、DNA となっていまも受け継がれています。
     現代のみかわち焼を、築100 年近くの住まいのなかにしつらえてみました。さまざまな器の姿をお楽しみください。

    上から
    ◆染付雀竹文大皿[そめつけすずめたけもんおおざら]江戸時代(18 世紀中頃) 佐世保市蔵
    ◆輪郭線を描く「骨描(こつが)き」でも、モチーフや部位に応じて幾種類もの筆を使い分けていきます
    ◆磁器という硬質な素材で、細かくしかもやわらかく表現する伝統的な技術が、置物だけでなく器にも活かされています

  • 平戸松山[ひらどしょうざん]

    口縁部には剣先文(けんさきもん)、器の底(見込み)には唐草に囲まれた牡丹が描かれています。植物のしなやかな線と大胆な余白は、静謐(せいひつ)さを呼び、食卓を特別なものにしていきます。

    手前から、
    ◆間取り牡丹唐草八角向付
    [まどりぼたんからくさはっかくむこうづけ]
    高 4.9cm、径 15.3cm
    ◆間取り牡丹唐草八角浅小鉢
    [まどりぼたんからくさはっかくあさこばち]
    高 3.5cm、径 12.8cm
    ◆間取り牡丹唐草八角七寸皿
    [まどりぼたんからくさはっかくななすんざら]
    高 2.8cm、径 21.1cm

  • 平戸松山[ひらどしょうざん]

    器の縁の白い立ち上がりが額縁のような効果で、盛りつけた料理を引き立たせていきます。伝統的でありながらリズミカルな絵柄と中央の白さ。洋食にも和食にも合う、贅沢な日常づかいの器におすすめです。

    手前から、
    ◆間取り文様七寸皿
    [まどりもんようななすんざら]
    高 3.6cm、径 22.0cm
    ◆間取り唐草七寸皿
    [まどりからくさななすんざら]
    高 3.6cm、径 22.0cm

  • 光雲窯[こううんがま]

    鯨の文化が色濃く残る長崎にふさわしい、 大海に生きる様を描いた、鯨への愛情あふれた器です。青海波(せいがいは)に泳ぐ鯨、「置き上げ」による鯨など、愛らしさは高度な技によって支えられています

    手前から、
    ◆六寸皿青海波染付鯨
    [ろくすんざらせいがいはそめつけくじら]
    高 2.4cm、径 19.2cm
    ◆染付十一鯨皿
    [そめつけじゅういちくじらざら]
    高 2.3cm、径 19.2cm
    ◆六寸皿おきあげ青海鯨
    [ろくすんざらおきあげせいかいくじら]
    高 2.7cm、径 17.6cm

  • 光雲窯[こううんがま]

    長崎の祭り「おくんち」にも登場する龍が、古典的な木瓜(もっこ)の形の皿に、細い筆で生き生きと描かれています。豆皿の龍は、白い土を何度も塗り重ねて立体的になる「置き上げ」の技法によるものです。

    手前から、
    ◆染付木瓜龍皿
    [そめつけもっこりゅうざら]
    高 2.8cm、径 15.2cm
    ◆おきあげ龍豆皿
    [おきあげりゅうまめざら]
    高 1.8cm、径 10.6cm

  • 平戸洸祥団右ヱ門窯[ひらどこうしょうだんうえもんがま]

  • 啓祥窯[けいしょうがま]

    器を1 本の桜の木に見立て、満開の桜のなかから幹がうかがえます。細かい桜の花をくり返し描いていく、「桜尽くし」の皿。明確な線が得意なこの窯元の特徴が活かされた、生命力溢れる、実際の寸法よりも大きく見える一枚です。

    ◆桜尽くし八寸皿
    [さくらづくしはっすんざら]
    高 4.2cm、径 24.6cm

  • 啓祥窯[けいしょうがま]

    波形を反復する、青海波(せいがいは)。技術の高い職人たちは均一さを目指しながらも、わずかな歪みが生まれ、器全体で見ると心地よいゆらぎとなります。手描きならではの親しみを抱くことができる、カップです。

    左から、
    ◆青海波フリーカップ 大
    [せいがいはふりーかっぷ]
    高 10.1cm、口径 7.2cm
    ◆青海波フリーカップ 小
    [せいがいはふりーかっぷ]
    高 9.2cm、口径 6.7cm

  • 嘉泉窯[かせんがま]

    昭和初期のみかわち焼のヒット商品であった、カップ&ソーサーを復元しています。やさしい形で、現代ではハーブティーなどにも向いています。奥の碗皿は、飲み物だけでなく、ヨーグルトやデザートにも合いそうです。

    手前から、
    ◆古平戸写唐草薄づくりカップ&ソーサー
    [こひらどうつしからくさうすづくりかっぷ&そーさー]
    カップ=高 4.9cm、口径 9.7cm/ソーサー=高 2.1cm、径 13.3cm
    ◆古平戸写菊絵薄づくり碗皿
    [こひらどうつしきくえうすづくりわんざら]
    碗=高 4.4cm、口径 10.1cm/皿=高 2.1cm、径 13.3cm

  • 嘉泉窯[かせんがま]

    大正・昭和の高級食器を復元しています。一目見ただけではわかりにくい、ひと手間をかけた繊細な形が、気品さを醸し出しています。季節ごとの特別な1 日やお祝いごとなど、料理を美しく見せてくれるでしょう。

    手前から、
    ◆古平戸写唐草桔梗縁皿
    [こひらどうつしからくさきょうぶちざら]
    高 2.8cm、径 16.7cm
    ◆古平戸写唐草菊型小鉢
    [こひらどうつしからくさきくがたこばち]
    高 5.8cm、径 10.3cm
    ◆古平戸写花唐草花割小向
    [こひらどうつしはなからくさはなわりこむこう]
    高 3.3cm、径 7.7cm

  • 嘉久正窯[かくしょうがま]

    みかわち焼は、江戸時代から昭和時代の初期にかけて、さまざまな器が生まれましたが、深い切り込みの入った形は大きな特徴の一つです。その歴史をふまえ、伝統の絵柄との取り合わせでつくられた器は食卓の主役のような存在感です。

    ◆花形鉢竹雀
    [はながたばちたけすずめ]
    高 7.4cm、径 20.0cm

  • 嘉久正窯[かくしょうがま]

    花を象(かたど)り、やわらかい花びらのように薄く仕上げた器。江戸時代に御用窯(ごようがま)で、型打ちによってつくられた優美な日常食器を思い起こさせてくれます。

    手前から、
    ◆菊花長皿牡丹唐草
    [きっかながざらぼたんからくさ]
    高 4.9cm、径 19.8cm
    ◆輪花皿
    [りんかざら]
    高 2.8cm、径 15.5cm
    ◆菊花皿ざくろ
    [りんかざらざくろ]
    高 1.8cm、径 15.6cm

  • 智山[ちざん]

    伝統的な形を、現代のサイズと、業務用にも使っていただける耐久性を加えて生まれた器です。くぼみの深みもあり、煮汁などのある料理にも向いています。

    手前から、
    ◆長角四方上り内丸柞灰桜散し皿
    [ちょうかくよほうあがりうちまるいすばいさくらちらしざら]
    高 3.6cm、径 21.7cm
    ◆長角四方上り内丸柞灰乱線皿
    [ちょうかくよほうあがりうちまるいすばいらんせんざら]
    高 3.6cm、径 21.7cm

  • 智山[ちざん]

    輪花の形の器のシリーズです。酢の物や和え物が、薄いつくりと赤い線のアクセントによって上品に食卓を彩る存在となるでしょう。

    手前から、
    ◆四方寸木甲縁赤線皿
    [よほうすんきこうぶちあかせんざら]
    高 4.5cm、径 13.4cm
    ◆木甲縁うす手赤線小鉢
    [きこうぶちうすであかせんこばち]
    高 7.8cm、径 12.2cm

  • 宝珠窯[ほうじゅがま]

    古くから野菜や果物は食器のなかでよく描かれてきましたが、こちらでは「なす」にまつわるさまざまな器を展開しています。食卓の上に並ぶだけで、料理が一品増えるような楽しさがあります。

    手前から、
    ◆重ねなす型なす絵銘々皿
    [かさねなすがたなすえめいめいざら]
    高 1.8cm、径 17.6cm
    ◆楕円菊型なす絵小皿
    [だえんきくがたなすえこざら]
    高 2.2cm、径 12.2cm
    ◆重ねなす型銘々皿
    [かさねなすがためいめいざら]
    高 1.8cm、径 17.6cm
    ◆楕円菊型なす絵取皿
    [だえんきくがたなすえとりざら]
    高 2.4cm、径 18.8cm
    ◆重ねなす型皿
    [かさねなすがたざら]
    高 1.8cm、径 22.6cm

  • 宝珠窯[ほうじゅがま]

    さまざまな大きさや形のかばちゃの絵柄づくしの器は、その愛くるしさで子どもたちにも食事がたのしくなるアイテムになるでしょう。業務用としてもお使いいただけます。

    手前から、
    ◆楕円菊型かぼちゃ絵取皿
    [だえんきくがたかぼちゃえとりざら]
    高 2.4cm、径 18.8cm
    ◆かぼちゃ絵縁丸深皿
    [かぼちゃえふちまるふかざら]
    高 4.4cm、径 16.6cm
    ◆正角かぼちゃ絵取皿
    [せいかくかぼちゃえとりざら]
    高 1.8cm、径 14.4cm
    ◆かぼちゃ絵縁付丸深皿
    [かぼちゃえふちつきまるふかざら]
    高 4.8cm、径 18.4cm

  • 平戸嘉祥[ひらどかしょう]

    シャープな角の形と、焼成によって生じたおだやかな丸みが魅力的な器です。料理は和洋中かを問わず、また業務用としても耐えられる、厚みをもっています。

    手前から、
    ◆菱四方格子染付皿
    [ひしよほうこうしそめつけざら]
    高 .7cm、径 28.2cm
    ◆菱四方白たたき皿
    [ひしがたよほうしろたたきざら]
    高 2.7cm、径 28.2cm

  • 平戸嘉祥[ひらどかしょう]

    サラダや煮物、さらにはスープまで、縁の部分が長いため、盛りつけた料理が映えやすい鉢です。重ねられるため、絵柄の違いで準備してパーティーなど中央に盛りつけ並べるのにも向いています。

    手前から、
    ◆縁反り山水染付ボール鉢
    [ふちぞりさんすいそめつけぼーるばち]
    高 8.1cm、径 23.5cm
    ◆縁反り白たたきボール鉢
    [ふちぞりしろたたきぼーるばち]
    高 8.1cm、径 23.5cm

  • 平兵衛[へいべえ]

  • 撮影協力

    お問い合わせ:三川内陶磁器工業協同組合
    電話:0956-30-8311
    URL:http://www.mikawachi-utsuwa.net/
    編集:坂井編集企画事務所
    撮影:大川裕弘
    デザイン:松田行正┼ 日向麻梨子
    発行:長崎県
    電源立地地域対策交付金事業
    2013.01